【ParasiteNOVA】第二話『微笑む天使』

この作品は作者はやまおう。の著作物です。
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                 ●比率 3:2:1

                  登場人物

  • ブルーグ・ナハトイェガー(♂):28歳。やや根暗。
  • イクス・アロンソ(♂):28歳。チャラい。
  • ソクラ(♀):恐らく20代半ば~後半。無感情でどことなく威圧的。
  • ブライアン・ルーソン(♂):22歳。ヒス男。
  • メアリー(♀):9歳。
  • ナレーション(不問)
  • MJ(♂):謎の男。出番が少ないのでブライアンと被り。
  • リーン(不問):10代半ばの少年。同上。ソクラと被り。

          (今回は女性でお願いします。)

  • ジェーン(♀):12歳程度の少女。同上。メアリーと被り。

 

※詳しい説明はこちらへ→登場人物詳細

 

                   役表

【ParasiteNOVA】第二話『微笑む天使』

ブルーグ♂:     
イクス♂:    
ソクラ&リーン♀:   
メアリー&ジェーン♀:     
ブライアン&MJ♂:    
ナレ♂♀:   

http://urx.nu/amLS

                   本編

              【あらすじ?】  

       
イクス:「さーて、前回のあらすじ、やってみっか。
     ディーパWPC戦闘員の俺たちは…って、
     WPCについての説明って…したっけ?」

ソクラ:「していない。」

イクス:「んー、WPCについての説明はー…
     長くなるから、時間のある時でいいよな?」

ソクラ:「好きにしろ。」

イクス:「で、だ!
     俺たちは遺跡にパラサイトを退治しに来たわけ!
     …って、パラサイトについての説明って…。」

ソクラ:「していない。」

イクス:「っかぁー、やる気あんのかぁ?作者ぁ!」

ブルーグ:「…全然、話が進まないな。」

メアリー:「たす…けて…。」

 

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ナレ:依然、トレントに囚われたままの少女。


ブルーグ:「…くっ」


ナレ:居た堪れなくなったブルーグは、
   少女を助け出そうと、駆け出す。

   トレントは、触手のような枝を伸ばし、
   ブルーグを払い除けようと、襲いかかる。

   次の瞬間、バサリと大きな斬撃音と共に、
   ブルーグを捉えようとしていた大きな枝が
   無残に、冷えた石床に落ちて転がった。


ブルーグ:「っ?!」

イクス:「…ふぅ、危ねぇ…。
     ったく、いくらなんでも無防備に突っ込むアホがいるかぁ!」


ナレ:振り向くと、イクスが険しい表情をしている。
   が、すぐにいつもの調子で大きな口をニッと横に広げた。
   イクスが咄嗟に枝を切り落としてくれなければ、

   どうなっていただろう。


ブルーグ:「イクス…。
      すまん、助かった。」


ナレ:イクスだけではない。
   普段であれば、指示以外の行動はしないソクラもまた、
   ブルーグの命令より早く、トレントの触手を粉砕していた。


ソクラ:「…私とイクスで食い止める。お前は子供を救出すればいい。」

イクス:「ふふーん。
     ソクラにしちゃあ、感情的に動いたんじゃないのぉ?」

ソクラ:「私はリーダーの判断に従うだけだ。」

イクス:「…相変わらず冷静ですねっ…と!」


ナレ:悠長に話しながらも、迫り来る触手を斬り捨てるイクス。
         

ソクラ:「お前は相変わらず無駄口が多過ぎる。行くぞ。」

イクス:「おうよ!
     ブルーグ!さっさと助け出してこい!」


ナレ:先に駆け出していったソクラを追うように、
   イクスはブルーグにウインクをしてみせると、 
   触手目掛け、大きく斬りかかっていく。
   その後ろ姿を見送り、
   ブルーグは一瞬だけ、柔らかく微笑み返すと、
   再び、少女を目指して、トレントの幹へと向かった。



メアリー:「…苦しい…よぅ…助け…て」

ブルーグ:「あぁ、もうすぐ助け出してやるからな。
      しっかりしろ。」


ナレ:少女を安心させようと、
   出来る限り優しい口調で声をかける。

   パラサイトは常に強力な宿主を探している。
   放っておけば、手に負えなくなる。
   その為に、早い段階で倒さなければいけない。
   
   ブルーグは、少女の両脇に手を回し、
   力の限り、引き抜こうと試みる。


ブルーグ:「ふぐぅっ…!
      …クソッ…思ったより、しっかり食い込んでるな…。」


ナレ:呼吸を乱すブルーグ。
   少女は、虚ろな表情で目の前の青年を見上げた。


メアリー:「お…にいちゃん…だぁれ…?
      メアリーのこと…助けて…くれるの…?」

ブルーグ:「ん?
      …あぁ、そうだ。
      お前を助けに来たんだ。だから、安心しろ。」

メアリー:「…うん」


ナレ:少女は、静かに、力強く頷いた。
   安心したのは束の間―
   

イクス:「っ?!よけろブルーグ!」


ナレ:イクスの声がするのと同時に、
   二人目掛け、無数の触手が迫ってきた。


ブルーグ:「っ?!」


ナレ:イクスやソクラの距離からでは間に合わない。
   無論、自らが引き金を引いたところで、
   減る数はたかが知れている。
   
   まずい。
   そう思った瞬間だった。

   白い、柔らかな光が、少女の体から溢れ始める。
   そして、少女から生まれ出でた光はオーブ状になり、
   スーっと、頭上に迫る触手達を包み込んでいく。

   そして、その刹那―
   無数の触手は、内部から爆発するように粉砕し、
   霧の如く、静かに消滅していった。
   

ブルーグ:「な…っ?!」

ソクラ:「…今のは…なんだ?」

イクス:「んな…っ?!あの子…今…光ってたよな?」


ナレ:唖然と、状況を飲み込めずにいる三人。
   ふと、少女の体が、
   まるで糸の切れた操り人形の様に、
   ブルーグの腕の中に倒れ込んでくる。


ブルーグ:「あ…っ!
      …ん?接続部が…緩く…?」


ナレ:少女の放った光を恐れてなのか、
   先程まで、強固に彼女を捉えていたコアが、
   少女の体をブルーグに渡す事を許した。

   ブルーグは、少女が気を失っているだけだと
   いう事を確認すると、
   戦いに巻き込まれぬよう、物陰に隠れていた
   ブライアンの元へと駆け寄った。


ブルーグ:「この子を連れて、先に脱出していろ。」


ナレ:突如、少女を託され、
   ブライアンは激しく動揺する。

   しかし、この状況で動けるのが
   自分しかいない事を理解すると、 
   観念したのか、少女を抱きかかえ、
   足早にその場を立ち去った。
   
   少女の救出が成功した事を知り、
   イクスはニンマリと微笑んで見せる。


イクス:「っふー…
     さーてとぉ、これでようやく思いっきり暴れられるぜぇ。」

ソクラ:「お前の場合、何も考えずに暴れていたように見えていたが?」

ブルーグ:「これより、トレントの駆除に取り掛かる。
      総員、遅れを取るな。」


ナレ:構え直した二丁のベレッタから、
   黄金色の弾丸が弾き出される。
   その照準はコアに向けられるが、
   敵もそう簡単に、弱点を狙い撃ちにはさせない。

   コアと呼ばれる、一見すると黒曜石のような物。
   謎の寄生物、パラサイトに侵食された
   動植物に表れる、文字通り中心部分。
   寄生物の宿り場であり、これを破壊しなければ、
   何度でも蘇ると言われている。
    
   先程、破壊された触手は、既に再生されている。
   つまり、コアを破壊しない限りは、
   何をしても『無駄』なのだ。

      

ブルーグ:「ソクラは上段。
      イクスは下段の触手を全部破壊しろ。
      触手が再生するより先に、コアを破壊する。」

イクス&ソクラ:「ラジャー!」


ナレ:ブルーグの指示を受け、
   ソクラは特殊警棒の放電スイッチをONにする。
   バチバチと火花を散らす警棒を構え、
   ソクラは石床を力強く蹴り、飛翔する。


ソクラ:「電光…雪華…!(でんこうせっか)」


ナレ:花びらの様に、火花が舞い散る中。
   ソクラは、宙を乱舞するかの如く、
   次々と触手を薙ぎ落としていく。
   
   一方、地上では、クレイモアを水平に構え、
   精神を研ぎ澄ませるイクスの姿があった。


イクス:「ホライズン・フェル!!」


ナレ:地平線をなぞる様に、一線を描く。
   太刀筋を追う衝撃波が、根を一刀両断する。

   コアが、仄かに怪し気な光を放つ。
   肉体の再生を始めようとしているのだろう。
   
   ブルーグは、その僅かな隙を見逃さない。


ブルーグ:「サーチ・アイ…ターゲット、ロックオン。」


ナレ:照準はコアに確実に当てられた。


ブルーグ:「ブレット・レイン!」


ナレ:放たれた銃弾の雨が寸分の狂いもなく、注ぎ込まれる。
   コアから、小さな破壊音が何度も何度も聞こえた。
   とうとう耐え切れなくなり、
   ガラスの塊が割れる様な音を響かせ、
   漆黒の宝石は、バラバラに砕け散った。

   支配者を失ったトレントは、それに反応するように、
   なんの変哲もない巨木へと、その姿を戻した。


イクス:「…っはっはー!ちょろいちょろい。」

ブルーグ:「ソクラ、パラサイトの反応の方はどうだ?」


ナレ:ソクラはレーダーに視線を落とす。


ソクラ:「…レーダーには何の反応もない。
     恐らく、これでミッション・コンプリートだろう。」

イクス:「よっしゃー…っ!
     あぁ~…さっさと帰って一杯やろうぜ、ブルーグさんよぉ。」

ブルーグ:「相変わらず気が早いな、お前は…ん?」


ナレ:ふと、違和感に気がつく。


ブルーグ:「なっ?!」


ナレ:遺跡に響く振動音。
   次第に大きくなり、建物全体を包み込んでいく。


イクス:「なんだなんだなんだぁ?!
     これヤバイんじゃないのぉ?ヤバイ揺れてっけど!」


ナレ:辺りを焦る様に見回すイクスに、
   ソクラが冷静に言い放つ。


ソクラ:「…イクス。
     さっき建物ごと斬ってたぞ。」

イクス:「俺かよ!?」


ナレ:怒り狂うブライアンの姿が、脳裏に浮かぶ。


ブルーグ:「…言い訳はとりあえず、後で考えるとして…。」

ソクラ:「…逃げるぞ。」

イクス:「大賛成っ!!」


ナレ:振動する遺跡の中を、出口を目指して走る三人。
   呼吸を乱す二人に比べ、ソクラはいつもと変わらない。

   涼しげな顔のソクラに、
   苦しそうな表情でイクスが訊ねる。


イクス:「…ソクラ!…お前っ!
     上層部にぃ…告げ口なんて…っ
     …しないよな?」

ソクラ:「………。」

イクス:「なんで…そこで黙んだよ…っ!
     …仲間だろぉ?!」

ソクラ:「…私は、リーダーの意向に従う。」

ブルーグ:「…俺は…黙っておいてやる…。」

イクス:「おぉ…流石は心の友!!助かるぜ、ブルーグ!!」

ソクラ:「…が、しかし。
     副総帥、総帥の意向が最優先だ。」

イクス:「うぐっ!!
     …お前って、そう言う…奴だったな…。
     そうだよなぁ…あーぁ…ムリ。」


ナレ:出口へ向かう階段が見えてくる。
   

ブルーグ:「よし、もうすぐだ!」

ソクラ:「遺跡崩壊まで…残り5秒…4…

    (次のセリフまでカウントダウンしていく)」

イクス:「だああああ!飛び込めぇぇえ!!」

ソクラ:「…1…0。」


ナレ:3人が出口に飛び込むと同時に、爆発音と砂煙を上げ、
   遺跡のあった場所が、大きく陥没する。
    
   その様子を、ワナワナと見つめる姿があった。
   
   目は見開き、顔面蒼白。
   大量の汗が、額から流れ落ちている。
   膝はガクガクで、
   立っているのもままならない様子だ。
   
   
ブライアン:「あ…あぁ…そんなぁ…。
       僕の…世紀の大発見が…!
       …長年の…夢が!
       僕の…ロマンがぁぁぁぁぁぁああああああ!」


ナレ:そんなブライアンを尻目に、
   三人は、無事、脱出できた喜びを分かち合う。


ブルーグ:「…間一髪…だったな。」

ソクラ:「奇跡的大脱出…。」

イクス:「…死ぬかと…思った…!」

ブライアン:「『死ぬかと思ったぁ~』…じゃないですよ!!
       何したんですか!?

       まだ調査もロクにしてなかったんですよ!!」

イクス:「…んあ?何かしたって?
     最初から…俺たちが何かしたみたいに
     …決め付けるのは良くないぜ?」

ブライアン:「いいえ。
       どう考えてもいきなり崩壊するなんて

       おかしいじゃないですか!?
       余裕の相手じゃなかったんですか?!」

ブルーグ:「まぁ、誰にでも失敗はあるもんだ。責めてやるな。」

イクス:「ちょっ!?
     ブルーグ!!お前、アッサリと裏切んなよ!!」

ブルーグ:「おっと、すまんすまん。ところで、ブライアン。」

ブライアン:「ナンデスカッ!?」

ブルーグ:「あの子は?」

ブライアン:「え?」


ナレ:ヒステリック気味なブライアンだったが、
   ブルーグがあまりにも自然に訊ねてくるので、
   思わず、普通のテンションで切り返してしまう。


ブライアン:「あぁ、あの青髪の女の子なら、まだ気を失っているので、
       皆さんの乗ってきた飛行機で、横にしておきましたよ。」

ブルーグ:「そうか、助かった。ありがとう。」

ブライアン:「は、はぁ…。」

ソクラ:「任務終了。帰還するぞ。」


ナレ:その言葉で、ようやく我に返り、
   再び、ヒステリックに騒ぐブライアン。   


ブライアン:「ハッ…に、逃げようったってそうはいきませんよ?
       僕も一緒に本部へ行きますからね!」

イクス:「ま~、アレだぁ。
     男のヒステリーはみっともないぜ?坊や。」

ブライアン:「ヒ、ヒステリーじゃないですよぉ!!
       だからー!元々この遺跡調査は
       川崎先生の研究チームの発足だって言ったじゃないですか!
       報告するのが現場監督の勤めです!」

ブルーグ:「…好きにしろ。
      ただし、あの子が起きないように、大声は出すなよ?」


ナレ:ブルーグは呆れながらも、ブライアンに釘を刺した。
   ブライアンも流石に、
   少女の前で、あの振る舞いは無いとわかっているのか、
   静かに頷き、おずおずと軍用機に乗り込んだ。
  
   一方、その頃―。


MJ:「…どうやら、生き残りはその2人だけのようですね。」


ナレ:どこかもわからない、謎の部屋。
   窓はなく、僅かなロウソクの灯りだけが、
   仄かに光を放つ。
   
   二人の少年少女と、一人の男。
   
   フード付きのマントと仮面をしており、
   男の顔はハッキリとは見えない。

   少年はクールな表情で、傍らにいる
   ゴシックロリータの少女に、言葉を投げかける。



リーン:「今のうちに排除すれば、脅威にはならない。
     始末してこなかったのか?」

ジェーン:「しようと思ったわよぉ。
      でも、途中で邪魔が入っちゃってさぁ~。」

リーン:「…邪魔?」

ジェーン:「雑魚の癖に、幼体の方を拐って、
      地中に逃げちゃったのよねぇ…。
      成体の方は…一応、襲撃はかけたけどぉ…。」

MJ:「その様子だと…逃げられましたね?」

リーン:「…呆れて何も言えないな。」

ジェーン:「何よぉ!そんなこと言うならリーンが!!」


ナレ:取り乱す少女を、男は穏やかな口調で窘める。


MJ:「落ち着きなさい、ジェーン。
   それに、リーン。
   アレの生き残りが相手なら苦戦するのも無理はない。
   私たちと彼女たちは相反する存在。
   我々では、弱らせることは出来ても…。」

ジェーン:「そうよ!すぐ回復するのよ!
      化け物よ、アレは!」

リーン:「お前も人のこと言えないだろ?」

ジェーン:「まぁ、そうだけど…。」


ナレ:男は、目の前にいる二人を、
   認識していない様な素振りで話す。
   

MJ:「これは早いところ…
   我らが女王の身体を取り戻さなければ…。或いは…。」


ナレ:二人は、男の振る舞いに慣れているのか、
   気に留める様子も無く、反応した。


リーン:「次代の我らが王、バサラ様を…?」

MJ:「えぇ。
   愛する兄上を…探し出さなくてはいけませんね。」

ジェーン:「二人揃えば、この世界は我々、血の一族のものね!」


ナレ:その言葉を聞いた瞬間。
   男の口調に嫌悪が宿る。
   

MJ:「血の一族…。
   奴らが我らを忌み、蔑む為につけた総称…。
   …ならば、我々はこう名乗りましょう。」


ナレ:そして、狂気の微笑を浮かべ、こう言った。


MJ:「黒い天使、と。」


【To Be Continued...】