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第十一話・台本

役名 番号 台詞 注釈
クワトロ 001_001 「これから・・・ゲートハルクに、ですか?」 戸惑うように
ブルーグ 002_001 「あぁ、少し行きたい場所があってな。」
クワトロ 003_002 「数年前、パラサイトの異常発生が原因で、住民は退去。」
クワトロ 004_003 「現在はゴーストタウン状態で、特にめぼしい物は・・・。」
ブルーグ 005_002 「それでも・・・調べたいんだ。」
クワトロ 006_004 「(少しポカンとして)はぁ。それなら止めはしませんが・・・。」
ブルーグ 007_003 「お前たちには、色々迷惑をかけた。・・・すまない。」
クワトロ 008_005 「あ、いえ・・・あれは・・・。」
ブルーグ 009_004 「・・・さよなら。」
【間】
クワトロ 010_006 「ブルーグさん・・・?」 不安を感じて
【間】
【SE/ガヤ】
ブルーグ 011_005 両親が俺を引き取った孤児院は、ゲートハルクにあった。
ブルーグ 012_006 何もないのかもしれない・・・いや、何もない方がいいんだ。
ブルーグ 013_007 そうすれば、この胸のモヤモヤは気のせいだと納得ができる。
アナウンスA 014_001 「イースカルデ発、バドウス方面プラバス行。快速ライラック86号が3番線から出発します。」
【SE/電車の発車音】
【SE/電車走行音】
ブルーグ 015_008 俺、一体何をやってるんだろう・・・。
ブルーグ 016_009 もし・・・何かあったら、俺はどうするつもりなんだ?
ブルーグ 017_010 俺の過去がわかって、それで今の俺が脅かされるなら・・・
ブルーグ 018_011 「・・・そんな過去は・・・この手で・・・」 噛み締めるように
アナウンスB 019_001 「次は終電、プラバス。プラバスに停車します。」
【SE/電車停車】
【SE/ガヤ】
【SE/地図を取り出す】
ブルーグ 020_012 「プラバスから・・・えぇっと・・・。」 キョロキョロと
ブルーグ 021_013 「あ・・・バスが出てるな。」
【SE/バスのアイドリング音】
ブルーグ 022_014 「ゲートハルクには止まるのか?」
運転手 023_001 「ゲートハルク・・・?一応行くには行くけど・・・。」
運転手 024_002 「・・・誰も住んでいないぞ?しばらく、戻りのバスもないし・・・。」
ブルーグ 025_015 「止まるんだな?わかった。」
運転手 026_003 「・・・ふむ。」
【SE/開閉音】
【SE/走行音】
【SE/停車音】
運転手 027_004 「着いたぞ。ゲートハルクだ。」
【SE/発車音】
ブルーグ 028_016 「・・・ここか。」
【歩き出す】
ブルーグ 029_017 霧が出ているな・・・。さっきまで何もなかったのに・・・。
【SE/ジャリ音】
ブルーグ 030_018 「ん?・・・骨?」
【屈んで拾い上げる】
ブルーグ 031_019 ますます廃墟らしくなってきたな・・・。
【立ち上がり、しばらく進む】
ブルーグ 032_020 「・・・孤児院?ここに間違いはなさそうだな。」
【看板を指でなぞる】
ブルーグ 033_021 「・・・え?」 震えるように
ブルーグ 034_022 「・・・ジュリアス孤児院・・・?」
【回想】
川崎 035_001 「彼の名は『マイン・ジュリアス』。非常に優れた医学者で、当時私の助手をしていました。」
川崎 036_002 「彼は個人的に孤児院も経営しており、元々病気である孤児を引き取り、治療をしながら生活させていたようです。」
【回想終わり】
ブルーグ 037_023 俺のいた孤児院が・・・マイン・ジュリアスの孤児院・・・?
ブルーグ 038_024 ・・・やっぱり引き返そうか。 躊躇い
ブルーグ 039_025 ・・・いや!それじゃ、メアリーをイクス達に託して、ここまで来た意味が・・・。
ブルーグ 040_026 「・・・っく!」 意を決し
【SE/錆び付いた開閉音】
【場面変更/地下室】
ミランダ 041_001 「・・・っ!」 息を呑む
MJ 042_001 「・・・来たようですね。」
ジェーン 043_001 「え?なになに?何するの?」 興味津々
リーン 044_001 「お前はまだ本調子じゃないんだから、大人しくしていろ。」
ジェーン 045_002 「大丈夫よ!ね?先生。私にも手伝わせて!」
MJ 046_002 「ジェーンは好奇心旺盛ですね。いいでしょう・・・始めましょうか。」
【MJが手をかざす】
MJ 047_003 「(魔法)ミスト・スクリーン。」
【場面変更】
【孤児院の中を歩くブルーグ】
ブルーグ 048_027 「・・・ん?」
【周りを見渡すが何もない】
ブルーグ 049_028 「・・・気のせいか。」
ブルーグ 050_029 ・・・しかし、思っていたよりも中は綺麗だな。
ブルーグ 051_030 まるで、今も誰かが生活しているような・・・
【SE/子供の足音】
ブルーグ 052_031 「っ?!」
【振り向いて銃を構えるブルーグ】
【間】
ブルーグ 053_032 「・・・ふぅ。」 安堵のため息
幼女A 054_001 「せんせー!ご本読んでー!!」
ブルーグ 055_033 「っ?!」
?? 056_004 「またこの本ですか?」
少年 057_001 「別の本がいい!ね、せんせー。」
幼女A 058_002 「いいの!これが好きなの!」
?? 059_005 「仕方ないですね・・・。(ブルーグの方を見て)ほら、君もこっちへ来なさい。」
ブルーグ 060_034 「・・・な」
【幻覚が消える】
ブルーグ 061_035 「・・・消えた。」
【キョロキョロと見回す】
ブルーグ 062_036 今のは・・・幻覚だったのか?
ブルーグ 063_037 ・・・マイン・ジュリアス。アイツだった。やっぱり、ここはアイツの・・・。
【足元に本が落ちている事に気がつく】
ブルーグ 064_038 「ん・・・?これは、さっきの童話・・・。」
【拾い上げてパラパラと捲る】
ブルーグ 065_039 ・・・なんだ?この感覚。初めて読むはずなのに・・・この挿絵、内容・・・。
ブルーグ 066_040 「・・・懐かしい。」
【本を勢いよく閉じる】
ブルーグ 067_041 何か・・・何かもっと・・・もっとわかるものが欲しい・・・。
ブルーグ 068_042 「先生・・・。そうだ。『先生』の部屋に・・・。」
【場面変更/孤児院前】
ローザ 069_001 「凄い霧ですわね・・・。この孤児院を中心に濃くなった気がしますわ。」
リリィ 070_001 「他の建物と比べると随分綺麗ね・・・。」
ローザ 071_002 「とにかく中へ入りましょう。念の為、武器も出しておきましょうか。」
リリィ 072_002 「えぇ、そうね。・・・あら?」 孤児院の中の人影に気づき
ローザ 073_003 「どうしましたの?リリィ。」
リリィ 074_003 「何か・・・中で誰かが動いたような・・・。」
ローザ 075_004 「誰か・・・?姿は見えまして?」 警戒するように
リリィ 076_004 「ううん、それは・・・。私の見間違いかもしれないし・・・行きましょう、ローザ。」
【中へ入っていく2人】
【場面変更/地下室】
ミランダ 077_002 「・・・余計なのが2匹、侵入したみたいね。」
MJ 078_006 「招かざる客、ですか。」
ジェーン 079_003 「なんかいいなぁ、ミランダの能力。私も欲しい!」
リーン 080_002 「お前にはお前の能力があるだろ。まぁ、鉛みたいに重たい女にはなりたくないけどな。」
ジェーン 081_004 「何よ!毛むくじゃらのアンタに言われたくないわ!」
リーン 082_003 「なんだよ、寒い時は羨ましがるくせに。」
MJ 083_007 「やれやれ、君達は相変わらずですね・・・。」
ミランダ 084_003 「好きな子程、いじめたくなっちゃう年頃なのよね。」 意地悪そうに
ジェーン 085_005 「ミランダ?あなた、お姉さんの私をからかうつもり?」
リーン 086_004 「体も頭もお子様だけどな。」
ジェーン 087_006 「リーンがそういうこと言うから、私まで子供扱いされるのよ!」
MJ 088_008 「それ以上騒ぐと、消しますよ?」 冷たく
【静まり返る】
MJ 089_009 「・・さて、お客様を『おもてなし』しなくては。行きましょう、みなさん。」
【先へ向かうMJの後ろ】
ジェーン 090_007 「・・・本当に、これでいいのかな。」
ミランダ 091_004 「え?」
ジェーン 092_008 「私たちが・・・化け物になっちゃったのは・・・誰のせい・・・?」
ジェーン 093_009 「私たちが地上の支配者になれば、栄光は約束される!でも・・・!」
リーン 094_005 「ジェーン・・・。」
ジェーン 095_010 「・・・もう、戻れない。」 泣きそうになるのをこらえる
ミランダ 096_005 「・・・戻れない事はとっくに理解している。私達は『彼ら』とは違うの。」
リーン 097_006 「だから、俺たちはこうやって一緒にいるんだろ。」
リーン 098_007 「俺たちは・・・『仲間』だから。」
ジェーン 099_011 「リーン・・・。」
ミランダ 100_006 「・・・目の前でいちゃつかないでくれる?」
リーン 101_008 「なっ?!」
ジェーン 102_012 「だ、誰がいちゃついてなんて!」
ミランダ 103_007 「早く行かないと消されちゃうわよ。・・・あの頃の『先生』はもういないの。」
【ぐっとこらえ、MJの後に続く3人】
【場面変更/院長室】
【本棚を物色するブルーグ】
ブルーグ 104_043 経営本・・・医学書・・・教育・・・。違う。
【更に漁る】
ブルーグ 105_044 遠足のしおり・・・クリスマス会・・・。
ブルーグ 106_045 「・・・ん?」
【本を取り出し】
ブルーグ 107_046 「・・・アルバム?」
【アルバムを捲ると再び幻覚が広がる】
幼女B 108_001 「ねぇねぇ。」
ブルーグ 109_047 「・・・え?(周りを見回し)俺?」
幼女B 110_002 「うん!」 ニッコリと
ブルーグ 111_048 ・・・ブロンドに青い目。誰かに似てる・・・。誰だ・・・?
幼女B 112_003 「どうしたのー?」
ブルーグ 113_049 「いや・・・なんでも。」
幼女B 114_004 「大きくなったらー、絶対、ぜーったい結婚してね?」
ブルーグ 115_050 「はぁ?!」
幼女B 116_005 「約束したでしょー?」
ブルーグ 117_051 「や、約束?」
幼女B 118_006 「指切りしたもん!」
ブルーグ 119_052 ・・・俺、メアリー以外の幼女と既に婚約してたのか・・・ 引き攣り
幼女A 120_003 「早く来なさい!ミランダ!!」
ブルーグ 121_053 「え?」
幼女B 122_007 「はーい!・・・えへっ。怒られちゃった。」
【幼女B走り去っていく】
ブルーグ 123_054 ミラ・・・ン・・・ダ・・・?
ブルーグ 124_055 似てる・・・。いや、この感覚。間違いなくそうだ・・・!
ブルーグ 125_056 それじゃあ・・・あの黒髪の少女は・・・ジェーン?!
ブルーグ 126_057 ・・・あの少年は・・・誰だ?
【近づいてくる少年】
少年 127_002 「何ぼさっとしてるんだ?今日はお前にとって大事な日だろ?」
ブルーグ 128_058 「大事な・・・日・・・?」
少年 129_003 「もう迎えに来てるんだ。早く行かないと。」
ブルーグ 130_059 「迎え・・・?迎えってなんの・・・?」
少年 131_004 「お前の新しい両親に決まってるだろ?変なこと言う奴だな。」
ブルーグ 132_060 「新しい・・・家族・・・。」
【思い立って外に向かって走り出すブルーグ】
少年 133_005 「あ・・・おい!」
【扉を開けると外ではブルーグの両親とMJが会話をしている】
ブルーグ 134_061 「(息を荒くする)」
135_001 「おや?そんなに息を切らして・・・大丈夫かい?」
マイン 136_010 「術後の経過も良好なので、今は心配いりませんよ。」
ブルーグ 137_062 「・・・父・・・さん?」
138_002 「ハハッ。『父さん』か・・・。改めて言われると恥ずかしいね。」
139_001 「今日から正式に家族になるんですもの。慣れなくちゃ。ね?」
ブルーグ 140_063 「・・・母さん。」
MJ 141_011 「すっかり懐いてる様で安心しました。」
【ブルーグの頭を撫でるMJ】
マイン 142_012 「バサラ。遠いディーパへ行っても、いい子で過ごすのですよ?『先生』との約束、ですからね?」
ブルーグ 143_064 バ・・・サ・・・ラ・・・?
144_002 「あ、ジュリアスさん。その事なんですが・・・。」
145_003 「この子さえ良ければ、我々で用意した名前に改名したいと思いまして・・・。」
マイン 146_013 「ふむ・・・。」
マイン 147_014 「この子が3つの時まで、本当のご両親が迎えに来た時の為に、あえて名前は付けないでいました。」
マイン 148_015 「言葉を話せるようになって、ある日・・・この子は自ら『バサラ』と名乗ったんです。」
149_003 「自ら・・・?」
マイン 150_016 「なので、そのまま呼ぶようにしましたが・・・。バサラ、君はどうなんです?」
ブルーグ 151_065 「・・・え?」
マイン 152_017 「名前、です。その名前に強いこだわりがあるなら、無理には変えなくてもいいとは思いますが・・・。」
ブルーグ 153_066 「いや・・・こだわりなんて・・・。」
マイン 154_018 「それじゃ、変えてもいいんですね?」
ブルーグ 155_067 「・・・あぁ。」
156_004 「・・・色々と考えたのですが、やはり。私たちにとって血の繋がりはなくとも、かけがえのない息子。」
157_005 「私が子供を産む事が出来たら、つけようと思っていた名前です。」
158_004 「我々の、愛する息子・・・」
【場面変更】
ローザ 159_005 「ブルーグ?!」
リリィ 160_005 「ブルーグさん、どうしてここに・・・?」
ブルーグ 161_019 「・・・君たちこそ、どうして?」
ローザ 162_006 「どうしたもこうしたも、この間の会議で言われていたでしょう?」
リリィ 163_006 「マイン・ジュリアスの捜索でここへ・・・。やはり彼が経営していた、この孤児院に何か手がかりがあるんじゃないかと思って・・・。」
ブルーグ 164_020 「なるほど・・・。確かに、不思議なものを発見しましたよ。」
ローザ 165_007 「不思議なもの?」
ブルーグ 166_021 「僕だけではわからなかったので・・・一緒に来て見てもらえませんか?」
リリィ 167_007 「え・・・えぇ・・・。」 何か腑に落ちない様子で
ブルーグ 168_022 「それじゃ行きましょう。・・・こっちです。」
ローザ 169_008 「・・・リリィ?どうしましたの?」
リリィ 170_008 「え・・・?う、ううん。なんでも・・・。」
【足音】
ブルーグ 171_023 「ここです。」
ローザ 172_009 「・・・これは、地下へ続く階段。こんなものさっきここへ来たときは・・・。」
ブルーグ 173_024 「ここの本棚を調べていたら、不思議なスイッチがあって、押したらこの階段が。」
ローザ 174_010 「・・・結構、深そうですわね。」 中を確かめて
リリィ 175_009 「ねぇ、ローザ・・・一旦報告したほうが・・・。」
ブルーグ 176_025 「なにか見つけてからでもいいんじゃないですか?」
ローザ 177_011 「そうよ、地下階段だけ見つけても何にもなりませんわ。降りてみましょう。」
リリィ 178_010 「・・・うん。」
【階段を降りていく】
ローザ 179_012 「暗くて何も見えませんわ。なにか灯りはありませんの?」
ブルーグ 180_026 「ありますよ。でも、その前に一つ・・・聞きたいことがあるのですが。」
リリィ 181_011 「聞きたいこと?」
ブルーグ? 182_027 「お二人は『マイン・ジュリアス』を調べて何をするおつもりで?」
ローザ 183_013 「え・・・?何をおっしゃって・・・?貴方もあの時・・・。」
リリィ 184_012 「ローザ・・・!やっぱり変!」 ローザの腕にすがり
ローザ 185_014 「変?」
リリィ 186_013 「ブルーグさんの口調も・・・仕草も・・・なんかおかしいの・・・。」
ローザ 187_015 「おかしい・・・?」
リリィ 188_014 「確かに顔はそっくりだけど・・・声もなんだが・・・違うみたいだし・・・。」
【突然扉が閉まる】
ローザ 189_016 「なっ・・・?!なんの冗談ですの!!開けなさい!!」
【扉を叩く】
MJ 190_028 「・・・おとなしく騙されていればいいものを・・・。ミランダ、ジェーン。」
ミランダ 191_008 「はい。」
ジェーン 192_013 「はい。」
MJ 193_029 「彼女たちを拘束しておいてください。【大切な餌】ですから。」
リリィ 194_015 「きゃっ!?」
ローザ 195_017 「は、離しなさい!!」
ジェーン 196_014 「おとなしくしなさい!」
【殴られる音】
ローザ 197_018 「うっ!」 腹部を殴られ気絶
リリィ 198_016 「ローザ!!」
ミランダ 199_009 「あなたにも眠ってもらうわ。ごめんなさいね。」
【手を掲げ、睡眠系の魔法をかける】
リリィ 200_017 「ブ・・・ルー・・・グ・・・さん・・・」 気を失う
【間】
【場面変更】
ブルーグ 201_068 「・・・一体、なんのつもりなんだ。俺にこんな幻覚を見せて・・・。」
ブルーグ 202_069 「こんな幻覚で俺を騙そうとしても無駄だ!俺は・・・惑わされない!」
【気配なく背後から声】
リーン 203_009 「なら、なぜそんなに怯えているんだ?」
ブルーグ 204_070 「っ?!」
【銃を構えて振り向く】
リーン 205_010 「そんなもの向けないでくれ。こっちはお前とやりあう気はないんだから。」
ブルーグ 206_071 「何者だ・・・。」
リーン 207_011 「さっき見て思い出してくれたかと思ったが・・・そう簡単には思い出せないか。あの時、お前は5歳だったもんな。」
ブルーグ 208_072 「・・・っく」
リーン 209_012 「今まで見てきた幻覚は、紛れもなくこの孤児院に染み付いた『過去』の記憶だ。」
ブルーグ 210_073 「過去・・・だと・・・?」
リーン 211_013 「薄々感付いていたんだろ?そこまで馬鹿じゃないはずだ。」
ブルーグ 212_074 「・・・っ」
リーン 213_014 「ついてこい。お前が知りたがっている全てを見せてやる。」
【歩いていくリーン】
ブルーグ 214_075 罠だ・・・。罠に決まっている。俺を惑わせる為の『血の一族』の罠だ。
ブルーグ 215_076 何が嘘で、何が真実か・・・この目で確かめてやる。
【後を追う】
【場面変更/地下】
リーン 216_015 「・・・ここに見覚えは?」
【手術室の様な場所へ案内される】
ブルーグ 217_077 「手術室・・・?あるわけないだろう。」
リーン 218_016 「それもそっか・・・。」
ブルーグ 219_078 「ここがどうした。」
リーン 220_017 「28年前。この場所で、一人の赤ん坊に手術が施された。それが全ての始まりだ。」
ブルーグ 221_079 「始まり・・・?」
リーン 222_018 「俺達の逃れられない運命の、な。」
ブルーグ 223_080 「逃れられない・・・運命・・・。」
【手術台の周りを歩きながら話すリーン】
リーン 224_019 「命さえ危なかった赤ん坊は、手術後。まるで今までが嘘みたいに健康になった。」
リーン 225_020 「しかし、それと引き換えに赤ん坊の容姿は成長するにつれ、当初とは別人のようになってしまった。」
ブルーグ 226_081 「・・・別人のように・・・?」
【間】
リーン 227_021 「元々、この孤児院は、病を抱えた孤児達が集まる場所。」
リーン 228_022 「赤ん坊の例から6年後、今度はひとりの少女の命が脅かされた。」
ブルーグ 229_082 「少女・・・?」
【扉の向こうからジェーンがゆっくりと入ってくる】
ジェーン 230_015 「赤ん坊の成功例はあったけど、不安に思った医師は自らを実験台としてアレを埋め込んだの。」
ブルーグ 231_083 「ジェーン・・・?!」
ジェーン 232_016 「それが、間違いだった。いいえ、本当は赤ん坊の時点で取り返しのつかないことになっていたの。」
ジェーン 233_017 「幼体だった前例と違い、2回目の手術は成体への移植。」
【今度はミランダが入ってくる】
ミランダ 234_010 「小さなうちに移植されれば、副作用は少なく。じっくりと時間をかけて体と心を侵食していける。」
ミランダ 235_011 「大人だったジュリアス医師に投与された事で、異変が起きたわ。」
ブルーグ 236_084 「異変・・・?」
ミランダ 237_012 「侵食の副作用で、『マイン・ジュリアス』としての人格は崩壊。そこにいたのは彼の体を借りた別な存在だった。」
リーン 238_023 「その後、その場にいた孤児達に、自分同様の処置を施した。」
ジェーン 239_018 「子供たちの病気を治したい一心だった彼の心はとうにない。」
ミランダ 240_013 「この世界を支配する為だけに。」
【ここでMJが入室】
MJ 241_030 「全ては母なる『メガラ』の意思なのですよ。」
ブルーグ 242_085 「っ?!」
MJ 243_031 「・・・はじめまして?いえ、お久しぶりですね。」
ブルーグ 244_086 「お前が・・・マイン・ジュリアス・・・。『MJ』か。この期に及んで顔を隠すなんて・・・。」
MJ 245_032 「いかがです?懐かしい、この孤児院は。」
ブルーグ 246_087 「お前・・・人の話を・・・」
MJ 247_033 「貴方はここで育ち、ミランダ、ジェーン、リーンと共に育った。そう、私が育てた。この手で。」
MJ 248_034 「ここを離れ、ナハトイェガー夫妻のところへ行ってからの体の具合はいかがです?」
ブルーグ 249_088 「お前に心配される必要なんて・・・!」
MJ 250_035 「ありますとも。生まれながらに重い心臓病を抱え、生死をさまよい。私が手術を施した赤ん坊は・・・。貴方なのですから。」
ブルーグ 251_089 「信じるものか・・・!俺は、川崎先生の・・・。博士の検査を受けて何も・・・!」
MJ 252_036 「その時、声は聞こえてないでしょう?」
ブルーグ 253_090 「声・・・。」
MJ 254_037 「目覚めた者は聞こえるはずです。母の声が。母の呼びかけが。」
MJ 255_038 「我々は選ばれた存在。下等なパラサイトと一緒にしてもらっては困ります。」
ブルーグ 256_091 「・・・ずっと、身を潜めて・・・潜伏していた・・・?」 ワナワナと
MJ 257_039 「『ブルーグ・ナハトイェガー』という器で、じっくりと育ってきたのです。そう、来るべき時の為に。」
ブルーグ 258_092 「俺は!!・・・俺は・・・『器』なんかじゃない!俺は・・・」
MJ 259_040 「貴方が目覚めるのに遅れた理由。それを教えてあげましょう・・・。」
ブルーグ 260_093 「何・・・?」
【顔を晒すMJ】
ブルーグ 261_094 「・・・っ?!」
ジェーン 262_019 「うわぁ!やっぱり鏡を見てるみたい!」
リーン 263_024 「こんなにそっくりなら、言い逃れは出来ないな。」
ブルーグ 264_095 「俺が・・・もうひとり・・・?」 震えて
MJ 265_041 「盗み出したサンプルの中に、メガラの受精卵がありました。貴方と私は、それを分かち合う存在。」
MJ 266_042 「短絡な言葉で示せば・・・『双子』です。」
ブルーグ 267_096 「・・・年齢も、親だって・・・血の繋がりだって・・・!第一、俺の知っているマイン・ジュリアスは髪も、目の色も・・・!」」
MJ 268_043 「メガラ細胞を投与し、しばらくすると、私の容姿は変わって行きました。恐らく、それが血の一族の力、なのでしょう。」
MJ 269_044 「私と貴方は兄弟であると共に、ひとつの存在。どちらが欠けても未完全。」
MJ 270_045 「我々が元のひとつに戻る時・・・。次王『バサラ』は誕生する。」
MJ 271_046 「さぁ、兄上。今こそ本来の姿に・・・。本能のまま、意識を明け渡すのです!」
ブルーグ 272_097 「黙れ!!・・・俺が?お前とひとつの存在?そんな事、認めない!」
ブルーグ 273_098 「俺はブルーグ・ナハトイェガー。お前たちを倒すWPCの戦闘員だ!」
MJ 274_047 「ふ・・・っ、悪あがきを。ミランダ、ジェーン。お二人をここへ。」
【隣の部屋からローザとリリィを連れてくる】
ジェーン 275_020 「ほら、さっさと歩いて!」
ローザ 276_019 「・・・ブルーグ!」
リリィ 277_018 「ど、どっちが本物・・・?」
ブルーグ 278_099 「お前らっ!(驚いて)」
MJ 279_048 「人間とは愚かですねぇ。顔だけで判断するなんて・・・。」
ブルーグ 280_100 「俺のフリをして彼女たちを・・・?」
MJ 281_049 「さて、ショーの始まりです。ミランダ。」
ミランダ 282_014 「はい。」
ブルーグ 283_101 「ショー・・・?」
ミランダ 284_015 「『深淵より生まれし地獄の業火よ・・・』」
【ミランダの掌に炎が浮かぶ】
ブルーグ 285_102 「魔法・・・だと?」
ミランダ 286_016 「覚醒したら使えるようになったの。凄いでしょ?これが【血の一族】の力なの。」
MJ 287_050 「人間には到底及ばない。それが我々の存在。力。それでも・・・まだ人間の力に頼りますか?」
ブルーグ 288_103 「っく・・・」
MJ 289_051 「あぁ!そうか・・・(気付いたように)。急に力を解放しろと言われても難しいですよね。私としたことが・・・。」
MJ 290_052 「ミランダ、焼いておあげなさい。」
リリィ 291_019 「え・・・?」
ミランダ 292_017 「(クスっと笑って)ゴメンネ。(魔法)『インフェルノ・ブレイズ』」
【ためらいもなくリリィの腕に炎を放つ】
リリィ 293_020 「い・・・いやぁあああああああああああああああああ!!」 痛みと熱さに悶える
ローザ 294_020 「リリィ!!っく・・・私の仲間に・・・許せませんわ・・・っ!」
MJ 295_053 「フフフ・・・どうです?悔しいでしょう?我々が憎いでしょう?」
ブルーグ 296_104 「姑息なマネを・・・!」 怒りに震えて
MJ 297_054 「おや、まだ足りない様子ですね。ジェーン、今度はそちらのお嬢さんに・・・。」
ジェーン 298_021 「はい、せんせい。」
【ジェーンの爪が伸び、刃に変わる】
ローザ 299_021 「な、何を・・・!!やめ・・・放して!!」
ジェーン 300_022 「暴れると変なところに刺さるわよー?」
ローザ 301_022 「な・・・」
【ローザの足に刃を突き刺す】
ローザ 302_023 「あぁぁぁぁあああああああああああっ!!!」 痛みに絶叫する
ブルーグ 303_105 「やめろ!!彼女たちは関係ないだろ!!」
MJ 304_055 「おや・・・?まだダメですね・・・。ミランダ、ジェーン。」
ミランダ 305_018 「はい」
ジェーン 306_023 「はい」
リリィ 307_021 「や・・・いや・・・やめて・・・あぁぁぁあああああ!!」
ローザ 308_024 「あ・・・う?・・・あぁぁぁああああ!!」
ブルーグ 309_106 「やめろ・・・!どうして・・・こんなこと・・・!!」 憎しみと怒り
MJ 310_056 「まだ、ですね。」
リリィ 311_022 「あぁぁ・・・うあああああああ・・・・!!」
ローザ 312_025 「もう・・・もう・・・やめ・・・っ!!ああああああ!!」
MJ 313_057 「さぁ、もっと・・・もっと・・・!」
【ブルーグ小刻みに震えて】
ブルーグ 314_107 「やめろ・・・」
MJ 315_058 「もっと!もっと!もっと!」
ブルーグ 316_108 「やめろ・・・・っ!」
MJ 317_059 「さぁ、さぁ、さぁ!」 段階をつけて
【間】
ブルーグ 318_109 「・・・ヤメロ。」 人格が変わったように
【ガラスがガタガタ音を立て、次々に割れていく】
ジェーン 319_024 「な、何?!」
リーン 320_025 「・・・この感覚は・・・。」
MJ 321_060 「ククク・・・ッ。ようやく、待ちわびたこの瞬間が・・・!」
【ブルーグの背中からミシミシと音がする】
ローザ 322_026 「な・・・何?!背中がうごめいて・・・」
【衣服の裂ける音と大きな翼を広げる音】
ローザ 323_027 「っ?!」
リリィ 324_023 「翼・・・?!ブルーグさんの背中から・・・」
MJ 325_061 「ククク・・・そう、その目。赤く、冷たいその目です!」
MJ 326_062 「待ちわびましたよ・・・。さぁ、私とひとつに・・・!」
ブルーグ 327_110 「俺は・・・WPCだ。」
MJ 328_063 「っ?!」
【床を突き破り、木のツタが黒い天使のメンバーを捉える】
ミランダ 329_019 「っく!」
リーン 330_026 「しまっ・・・」
ジェーン 331_025 「は、放しなさいよ!!」 もがいてみせる
MJ 332_064 「・・・私としたことが。まさか、まだ人間の意識が勝(まさ)っているとは。」
ブルーグ 333_111 「ローザ、リリィ。」
リリィ 334_024 「・・・っはい・・・。」
ブルーグ 335_112 「今のうちにここから離れろ。」
ローザ 336_028 「・・・一体何をなさるつもりですの!?」
ブルーグ 337_113 「俺は・・・見ての通り、化け物だ。」 悲しみを込めて
ブルーグ 338_114 「・・・俺なりのケジメを付けさせて欲しい。」 力強く
ローザ 339_029 「貴方、まさか・・・!」
ブルーグ 340_115 「さっさと行け!!」
リリィ 341_025 「・・・っ!行きましょう、ローザ。」
ローザ 342_030 「・・・っく!」
【その場を離れる2人】
ブルーグ 343_116 「これで・・・後腐れなく、勝負が出来る。」
MJ 344_065 「・・・おやめなさい、兄上。そんな事をしても、無意味です。」
ブルーグ 345_117 「無意味?・・・やってみなけりゃわからないだろう。」
【漆黒のオーブを手のひらに掲げるブルーグ】
ミランダ 346_020 「暗黒魔法・・・。」
ブルーグ 347_118 「俺は、お前たちを倒す為の存在だ。存在理由に抗う事になろうと、それだけは譲らない!」
ジェーン 348_026 「ちょ・・・いや・・・!いや!死にたくない!」
リーン 349_027 「ジェーン!!俺の手を・・・!」
ブルーグ 350_119 「これで・・・終わりだ・・・っ!!」
【ブルーグの放った漆黒の魔法が、孤児院を駆け抜けていく】
【場面変更/外を逃げるローザとリリィ】
ローザ 351_031 「(呼吸を荒く)」
リリィ 352_026 「(呼吸を荒く)」
ローザ 353_032 「(爆発の気配に気づき)っ?!リリィ、伏せて!!」
リリィ 354_027 「っ!?」
【SE/爆発音】
【瓦礫が落ちる音】
ローザ 355_033 「(咳き込みながら)大丈夫?リリィ。」
リリィ 356_028 「えぇ・・・。でも、中にブルーグさんが・・・!」
ローザ 357_034 「この怪我で助けに行くのは無謀ですわ!応援を呼びましょう。」
リリィ 358_029 「そうね・・・。」
【間】
【場面変更/ディーパ上層部医務室】
ブルーグ 359_120 「・・・ん・・・」 ベッドの上で意識を戻す
イクス 360_001 「よっ、相棒。」
ブルーグ 361_121 「?!」 思わず身構える
イクス 362_002 「おいおい、何だよ。仲間の顔を見るなり・・・。」
ブルーグ 363_122 「どうして・・・?俺は・・・」 現状を理解できていない
イクス 364_003 「爆発に巻き込まれたんだってな。ノートルゲート支部からの緊急要請で急遽、ゲートハルクに向かったはいいが・・・。」
イクス 365_004 「あの残骸を見た時にはダメかと思ったぜ。そしたら・・・無傷で倒れてるじゃねぇか。」
ブルーグ 366_123 「無傷・・・?」
イクス 367_005 「何があったか知らねぇが・・・とにかく、お前が無事で安心したぞ。」
【間】
ブルーグ 368_124 あの時と一緒だ・・・。大怪我をしても治ってしまうのは・・・俺が『化け物』・・・だから?
ブルーグ 369_125 ・・・。ん?・・・化け物・・・?
ブルーグ 370_126 「なぁ、イクス。」
イクス 371_006 「あん?なんだ?」
ブルーグ 372_127 「どうして・・・お前は、俺を見ても・・・普通でいられる?」
イクス 373_007 「はぁ?」
ブルーグ 374_128 「だって、俺は・・・化け物で・・・」
イクス 375_008 「・・・爆発で頭でもイカレたのか?いつもと変わらないブルーグさんだぜ?」
ブルーグ 376_129 「・・・なんだって?」 訝しげに
【ベッドから起き上がるブルーグ】
イクス 377_009 「あ・・・おい!」
ブルーグ 378_130 「大丈夫だ・・・。」
【ベッドからおりて鏡を確認するブルーグ】
ブルーグ 379_131 「本当だ・・・。」
イクス 380_010 「いくら無傷だからって無茶するなよ。・・・(思い出して)あ、そうだ!お前に朗報だ!」
ブルーグ 381_132 「朗報・・・?」
イクス 382_011 「実はなぁ・・・。あのミランダをとっ捕まえたんだ!」
ブルーグ 383_133 「ミランダを・・・?他の連中は?」
イクス 384_012 「あー・・・。あのジェーンって小娘は・・・死んでたよ。」
ブルーグ 385_134 「死んでた・・・?」
イクス 386_013 「背中にあったコアが壊れてた・・・。この間の戦いのが、尾を引いてたんだろうな。」
イクス 387_014 「とにかくまぁ、あれじゃ再生は出来ないみたいだぜ?」
ブルーグ 388_135 「そっか・・・。他は?」
イクス 389_015 「他?」
ブルーグ 390_136 「MJともうひとり、金髪の少年がいたはずだ。」
イクス 391_016 「さぁ・・・。俺が現場に駆けつけた時には、他には誰も・・・。」
ブルーグ 392_137 「逃げられたか・・・。」
イクス 393_017 「まぁ・・・また捕まえればいいじゃないか。」
イクス 394_018 「それじゃ、俺はお前が目覚めたことを上に報告してくる。ゆっくり休んでろよ?」
【ドアの閉まる音】
ブルーグ 395_138 夢・・・だったわけじゃないよな?俺は・・・人間に戻れたのか・・・?
【鏡を見つめる】
ブルーグ 396_139 「(深呼吸)・・・っく!!ん・・・!はぁっ!!」 精神を集中する
【羽根の音】
ブルーグ 397_140 「っ?!」
【鏡を割る】
ブルーグ 398_141 終わってない・・・!!俺は・・・まだ・・・化物のままじゃないか!!
ブルーグ 399_142 どうすれば・・・。どうすれば終わらせる事が出来るんだ・・・?
ブルーグ 400_143 「どうすれば・・・。」
【間】
【ドアを開ける】
イクス 401_019 「お待たせー!ブルーグ・・・・あれ?」
ジェイク 402_001 「いないようだが?」
イクス 403_020 「ちゃ、ちゃんとここで大人しくしてるように・・・」
【風で窓が揺れる】
ジェイク 404_002 「・・・窓から出て行ったのか・・・。あのバカめ・・・。」
イクス 405_021 「なにしてんだよ、アイツ・・・。」 髪をくしゃくしゃっとして
イクス 406_022 「なぁ、総帥。ブルーグの奴、様子が明らかにおかしかった。アンタ、俺達に隠してることがあるんじゃないのか?」
ジェイク 407_003 「これ以上お前たちに隠し事なんて・・・」
イクス 408_023 「・・・あいつ、自分のこと『化け物』なんて言うんだ。おかしいだろ?なぁ、なんか知ってるんじゃないのか?」
ジェイク 409_004 「(ため息)・・・今はまだ調査中だ。確証のない事は言えない。」
イクス 410_024 「・・・わかったら、話してくれるのか?」
ジェイク 411_005 「・・・あぁ。」
イクス 412_025 「・・・わかった。それじゃ、俺・・・ブルーグを探してくる。今、俺に出来るのは、それくらいしかねぇからな。」
ジェイク 413_006 「あぁ、頼んだ。」
【走り去る音】
ジェイク 414_007 「ん?」
【手紙の存在に気づく】
ジェイク 415_008 「ブルーグの字だ。置き手紙か・・・。」
【手紙を開けて読む】
ブルーグ 416_144 上層部のみんなへ。・・・3年間世話になったな。俺は、みんなの期待に応えられてきただろうか?
ブルーグ 417_145 出来る事なら、これからも『WPCの俺』で居続けたかった。
ブルーグ 418_146 でも、運命は残酷だ。俺がそれを望んでも、許してくれないらしい。俺は・・・みんなとは一緒に居られない。
ブルーグ 419_147 俺の事は探さないでくれ。これは・・・俺、個人の問題だ。みんなを巻き込むつもりはない。
ブルーグ 420_148 それじゃ、みんな・・・元気で。ブルーグより
ブルーグ 421_149 P.S.メアリー、約束守れなくてゴメンな。
【間】
ジェイク 422_009 「・・・あのバカ・・・!」 怒りと寂しさを込めて
【手紙をクシャっと丸める】
【場面変更】
駅員 423_001 「銀髪・・・?あぁ、もしかして目の赤い人かな?」
イクス 424_026 「見たのか?!」
駅員 425_002 「確か・・・アゴール方面行きのチケットを買っていたな。」
イクス 426_027 「アゴール?どこだい?それは。」
駅員 427_003 「この大陸の最北端の国だよ。・・・あ!そうだ。『これ以上先へ行くにはどうしたらいい?』って聞かれて、そこからは船で行くしかないよって答えたんだ。」
イクス 428_028 それ以上先へ・・・か。ありがと、おっさん!」
【携帯を手にするイクス】
イクス 429_029 「・・・あ、総帥!ブルーグの足取り、掴めたぜ。」
【場面切り替え/ジェイク側】
ジェイク 430_010 「・・・・アゴール?ブルーグはアゴールに向かったのか?」
イクス 431_030 「なぁ、総帥。俺、有休まだ残ってるよな?」 電話越し
ジェイク 432_011 「ん?あぁ、まだあったはずだが?」
イクス 433_031 「・・・ブルーグの奴、必ず連れ戻してくる。このままで納得出来るかよ。」
ジェイク 434_012 「そうか・・・わかった。・・・あぁ、一度戻ってからにしてくれないか?」
イクス 435_032 「ん?」
ジェイク 436_013 「試作段階だが『対・黒い天使』用の特殊武器を渡しておきたい。お前の分と、ブルーグの分だ。」
イクス 437_033 「へぇぇ、そんなもん作ってたのか!?了解!それじゃ、一旦戻ってから向かうぜ!」
ジェイク 438_014 「あぁ。それじゃ、また後で。」
【電話を切る】
【小さな足音】
ジェイク 439_015 「ん・・・?今のは・・・?」
【場面変更】
リーン 440_028 「ジェーン・・・。」
【ジェーンのコアの破片を握り締める】
MJ 441_066 「君が、彼女の手を取るより早く・・・。彼女のコアが割れてしまったんです。自分を責めてはいけません。」
【答えないリーン】
MJ 442_067 「(ため息)やれやれ・・・。気が済むようになさい。」
【リーンを置いて姿を消すMJ】
【回想】
ジェーン 443_027 「ねぇ、もし私たちが普通の人間だったら・・・どんな人生だったかな?」
リーン 444_029 「どうしたんだよ、急に。」
ジェーン 445_028 「なんとなく、よ。」
リーン 446_030 「さぁ、どうだろうな。今と大して変わらないと思うけどな。」
ジェーン 447_029 「そうかな・・・?」
リーン 448_031 「ジェーン?」
ジェーン 449_030 「・・・普通に思春期を迎えて、普通に恋して、大人になって。当たり前の平凡な生活を送ってるかもしれない。」
ジェーン 450_031 「それはそれでつまらないって感じちゃうかもしれないけど・・・。」
ジェーン 451_032 「その当たり前を諦めてる今から想像したら・・・凄く、幸せなのかもしれないね。」
リーン 452_032 「幸せ、か。俺は今でも十分だ。」
ジェーン 453_033 「なんで?」
リーン 454_033 「お前やミランダ。先生・・・。仲間がいるから。」
ジェーン 455_034 「仲間・・・か。うん、そうだね。」
【回想終わり】
リーン 456_034 あの時はお前の言葉の意味がわからなかった・・・。でも、ようやくわかったよ。
リーン 457_035 俺たちが『血の一族』である以上・・・平穏なんて、ない。
リーン 458_036 お前を失って気づくなんて、遅すぎたかな・・・?ジェーン。
リーン 459_037 「俺は・・・。」
【間】
リーン 460_038 「お前ら人間を、絶対に許さない・・・!」
【間】
ブルーグ 461_150 「次回予告。」
ジェイク 462_016 「突如、行方をくらましたブルーグと、それを追うイクス。」
ジェイク 463_017 「それと同時に、メアリーの姿が上層部から消えた。」
ジェイク 464_018 「相次ぐアクシデントの中、単身、上層部に侵入する影がひとつ。」
ジェイク 465_019 「絶体絶命の状況下で、巻き起こる。忘れることの出来ない一日。」
ジェイク 466_020 「次回ParasiteNOVA第十二話『壊れゆくもの』」


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