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第十二話・台本

役名 番号 台詞 注釈
リーア 001_001 「メアリーが・・・?」
ジェイク 002_001 「すまない・・・。電話の内容を聞かれたらしい。」
【リーア、少し考えて】
リーア 003_002 「・・・我々レイズには、僅かですが、念を読み取る力があります。少し、時間はかかりますが・・・あの子の居場所を探してみたいと思います。」
ジェイク 004_002 「わかった・・・。」
【落ち込んだ表情を見せるジェイク】
リーア 005_003 「・・・ブルーグとは、長い付き合いなんですね?」
ジェイク 006_003 「ん?・・・あぁ。腐れ縁みたいなものだ。最初に出会ったのは、お互い、まだ十代の時だったな。」
リーア 007_004 「そんなに前から?」
ジェイク 008_004 「今でさえ、アイツは穏やかに見えるが・・・。あの当時は、両親を亡くしたばかりで、酷く荒れていてな。あの容姿も相まって、ひどいコンプレックスの塊だった。」
ジェイク 009_005 「いや、今もそれは変わらないのかもしれないが・・・。あの頃の様に、目が合っただけで、喧嘩を吹っかけてくる様な事はしなくなった。」
リーア 010_005 「そうだったんですか・・・。」
ジェイク 011_006 「『街で、しょっちゅう喧嘩をしている白いのがいる。』。当時、国防総省に配属されたばかりだった私の耳に、そんな街の噂が入った。」
ジェイク 012_007 「ソクラの件もそうだが、私はどうやらお節介らしくてな。気になってそいつを探すことにしたんだ。」
リーア 013_006 「それが・・・ブルーグ?」
ジェイク 014_008 「あぁ。喧嘩をしているとはいえ、・・・アイツは弱かった。(少し笑う)サシで喧嘩をしたが、アイツは私に勝てなくてな。それが悔しくてたまらなかったんだろう。」
ジェイク 015_009 「『私に一発でも当てたければ、軍に入って体を鍛えてみろ』と言う、私の口車にアッサリと引っかかった。」
リーア 016_007 「まぁ・・・(驚きと微笑)。」
ジェイク 017_010 「その後の奴の成長は、目を見張るものがあってな。WPC設立が決まった時・・・私は、アイツをメンバーにする事を決めたんだ。」
ジェイク 018_011 「だから、アイツとは10年以上の腐れ縁で繋がれてる。」
リーア 019_008 「弟みたいな存在?」
ジェイク 020_012 「どうだろうな・・・。アイツは俺には負けたくない。俺にだけは馬鹿にされたくない。そう感じて今日まで努めてきたんだろう。悪友、ライバル。そんなところか・・・。」
【再び、暗い表情になるジェイク】
リーア 021_009 「大丈夫ですよ。イクスが必ず、ブルーグを連れ戻してくれます。」
ジェイク 022_013 「・・・あぁ、そうだな。」
【立ち去ろうとする】
リーア 023_010 「どちらへ?」
ジェイク 024_014 「罪人の事情聴取の様子を見に、な。」
【場面変更/取調室】
アネッタ 025_001 「・・・いつまで黙ってるの?」
【間】
アネッタ 026_002 「(ため息)・・・いい加減にしてよね。」
ミランダ 027_001 「罪が消える訳でもないのに、何を話せって言うの?」
アネッタ 028_003 「他のメンバーの居場所よ。」
ミランダ 029_002 「知らないわよ。私が倒れていた場所にいなかったんでしょ?」
アネッタ 030_004 「・・・そう。」
【間】
アネッタ 031_005 「ブルーグが消えたわ。」
ミランダ 032_003 「・・・そう。」
アネッタ 033_006 「驚かないのね。何か知ってるの?」
ミランダ 034_004 「我々は皆、メガラの意思を共有している。彼も例外じゃないわ。いえ、一番色濃く反応しているかもしれない。」
アネッタ 035_007 「・・・ブルーグは、血の一族なの?」
ミランダ 036_005 「ノートルゲートの小娘たちが見てるでしょう?聴いてるんじゃないの?」
【間】
ミランダ 037_006 「ブルーグは、次の我らが王になる存在。メガラの声を聞き、メガラを感じ・・・そして、メガラに呼ばれる。」
アネッタ 038_008 「呼ばれる・・・?ブルーグはメガラを追っていった・・・?」
ミランダ 039_007 「恐らくね。」
アネッタ 040_009 「どこなの?メガラは。貴女も同族なら、感じるんでしょう?」
ミランダ 041_008 「・・・教えてもどうにもならないから、いいわ。特別よ?」
ミランダ 042_009 「この大陸より遥か北。忘れられた大陸の地中、奥深く。そこに血の祭壇はある。」
アネッタ 043_010 「血の祭壇・・・?」
ミランダ 044_010 「メガラが根を張る場所。ここから根を伸ばし、星全体を覆う。この星で流れた血は、根を辿ってメガラに行き着く。そうやって、力を温存し、完全体を目指すの。」
アネッタ 045_011 「完全体・・・?サルスで復活したメガラは、まだ完全ではないというの?」
ミランダ 046_011 「メガラが完全になれば、人間なんて一瞬で微塵になるわ。」
アネッタ 047_012 「・・・こうしちゃいられない!」
【アネッタ立ち上がる】
ミランダ 048_012 「無駄だと思うわ。貴方達、人間じゃ未完全のメガラにだって太刀打ち出来ない・・・っ?!」
【ミランダの胸ぐらを掴むアネッタ】
アネッタ 049_013 「だからって放っておくわけにはいかないの!・・・我々には、この国を・・・世界を守る義務がある!」
【ジェイクが入ってくる】
ジェイク 050_015 「自ら蒔いた種は回収しないとな。」
アネッタ 051_014 「総帥・・・。」
ジェイク 052_016 「ミランダ、処刑の日程が決まった。1ヶ月後の午前11時だそうだ。それまで、思い出に浸っているといい。」
【間】
ジェイク 053_017 「1ヶ月の命か。儚いものだな。」
ミランダ 054_013 「・・・(クスクス笑う)。」
ジェイク 055_018 「何がおかしい。」
ミランダ 056_014 「・・・1ヶ月が儚いなら、1日は憂う暇もない。」
【場面変更/研究室】
ブライアン 057_001 「先生、コーヒーここに置いておきますね。」
【川崎博士の脇にコーヒーカップを置く】
川崎 058_001 「あぁ、ブライアン。ありがとう。」
【川崎の手元にはマイン・ジュリアスの写真】
ブライアン 059_002 「・・・マイン・ジュリアスですか。」
川崎 060_002 「・・・君も聞いたでしょう?『黒い天使』のMJが、彼だったと言う話を。」
ブライアン 061_003 「・・・えぇ。やっぱり、という感じですか?」
川崎 062_003 「メガラ細胞を盗み出したという過去はありますが・・・。やはりまだ、私には信じられません。」
川崎 063_004 「彼と私は、大学の同級生だったんですよ。誰より早く博士号を取り、周りから妬まれる中でも、彼は僕を支えてくれた。」
川崎 064_005 「彼には彼の道があり、正義があり、それを完うして生きているように見えました。」
ブライアン 065_004 「正義・・・。」
川崎 066_006 「人の命を救いたい。その気持ちに間違いはなかったんでしょう。メガラの事がなければ、今頃素晴らしい医者であっただろうに・・・。彼の運命を変えてしまったのは、私です。」
ブライアン 067_005 「先生がそこまで責任を感じる理由なんて・・・。運命を変えたのは・・・彼自身じゃないですか。」
ブライアン 068_006 「思いとどまる事だって出来たはずなのに、それをしなかったのは紛れもなくマイン・ジュリアスの意思です。自分のせいだとか、責任を感じても・・・自体は変わりません。」
川崎 069_007 「ブライアン・・・。」
ブライアン 070_007 「あ・・・すみません、偉そうに。」
川崎 071_008 「いえ、君の言うとおりですよ。私が思っていたより、君は大人になりましたね。」
ブライアン 072_008 「いやいや・・・僕なんか、まだまだ・・・。」
川崎 073_009 「私に万一の事があったら、全ての研究は君に任せることにしますよ。」
ブライアン 074_009 「やだなぁ、先生。縁起でもない・・・。」
川崎 075_010 「ブライアン。」
ブライアン 076_010 「はい?」
川崎 077_011 「君は、君だけは・・・」
【SE/非常アラーム】
ブライアン 078_011 「っ?!非常アラーム?」
川崎 079_012 「一体何事です・・・。」 不安げに
【場面変更/オペレーションセンター】
ジェイク 080_019 「何が起きた?」
オペレータA 081_001 「侵入者です!本部北西緊急通路のケーブルを破壊して侵入した模様。・・・今、モニターに映します。」
【映し出される】
アネッタ 082_015 「何かしら・・・。白い・・・狼?」
ジェイク 083_020 「なんで動物がこんな事を・・・」
【モニターの向こうで警備員が襲われる】
警備員 084_001 「う、うわぁ!!」
ジェイク 085_021 「・・・アネッタ、ソクラを現場に向かわせろ。大至急だ。」
【場面変更/1Fロビー】
警備員B 086_001 「こ、これ以上は進ませるな!」
【唸る狼】
警備員B 087_002 「と、止まれ!」
【襲いかかる】
警備員B 088_003 「あぁぁぁ!!」
【狼の唸り声と悲鳴】
【足音が近づき、それに気づいた狼が口にくわえていた警備員を投げ飛ばす】
警備員B 089_004 「ぐぅ・・・!」
【狼の形状が変わり始める】
ソクラ 090_001 「・・・ん?」
リーン 091_001 「ようやくWPCのお出ましか。」
ソクラ 092_002 「・・・人間になった。・・・変身能力者か。」
リーン 093_002 「驚かないんだな。人間は異形に慌てふためくと言うが・・・」
ソクラ 094_003 「生憎、私は人間ではない。」
リーン 095_003 「・・・なるほど、お前が例の戦闘兵器か。所詮は人工物・・・噛み砕いてやる。」
【再び狼に変身し、遠吠えし、突進していく】
ソクラ 096_004 「・・・っふ・・・・ん!」 正面から受け止める
ソクラ 097_005 「はぁっ!!」 投げ飛ばす
【空中で体制を立て直す狼】
【唸り声】
【覆いかぶさるようにソクラに飛びかかる】
【唸り声】
ソクラ 098_006 「くっ・・・!」
【特殊警棒を取り出す】
ソクラ 099_007 「(技名)雷天一碧!!」 らいてんいっぺき
【電流音】
【狼の咆哮】
【ソクラの脇腹を爪で抉る】
ソクラ 100_008 「っ?!・・・む。」
【バチバチと回路がショートする音】
【人間に戻るリーン】
リーン 101_004 「これで人形らしくなったな。」 皮肉的に微笑み
【場面変更/オペレーションセンター】
アネッタ 102_016 「ソクラが・・・っ!?」
ジェイク 103_022 「『黒い天使』のメンバーか。ミランダを取り戻しにでも来たか・・・?」
【アネッタの表情に気づき】
ジェイク 104_023 「アネッタ?・・・どうした。」
アネッタ 105_017 「・・・この少年の目です。」
ジェイク 106_024 「え?」
アネッタ 107_018 「・・・なんでしょう、凄く悲しそうで。」
ジェイク 108_025 「なに・・・?」
【場面変更/ロビー】
ソクラ 109_009 「はぁぁぁ!!」 蹴り
リーン 110_005 「・・・っ!たぁぁっ!!」 左腕で攻撃を受け止め、右拳でソクラを狙う
ソクラ 111_010 「っ!」 後退
リーン 112_006 「(息を荒げ)・・・ブルーグ・ナハトイェガーを出せ。」
ソクラ 113_011 「・・・ブルーグに何の用だ?」
リーン 114_007 「決まってるだろう・・・ジェーンの仇を打ってやる。」
ソクラ 115_012 「・・・仇討ちか。哀れな。」
リーン 116_008 「機械のお前に何がわかる!!」
【殴りかかる】
【吹き飛ばされるソクラ】
ソクラ 117_013 「・・・っく」
リーン 118_009 「痛みも感じないだろう?仲間を殺されて、胸が張り裂けそうになる事もないだろう?」
【ソクラに馬乗りになり】
リーン 119_010 「俺は・・・ただ、あいつらと静かに暮らせりゃそれで良かった。それなのに・・・お前らが奪った・・・!」
【拳を振り上げ】
リーン 120_011 「お前らからも奪ってやる・・・!お前らがそうしたように、お前らからも平穏を奪ってやる!!」
リーン 121_012 「はぁぁぁっ!!」
【ソクラを殴り続ける】
ソクラ 122_014 「ぐっ!」
リーン 123_013 「っ!!たぁっ!!」
ソクラ 124_015 「・・・っ!」
【ソクラの左腕を捻り落とす】
リーン 125_014 「・・・感じるか?」
ソクラ 126_016 「・・・左腕、破損。」 淡々と
リーン 127_015 「・・・(嘲るように)そりゃそうだよな。人形、だもんな。お前。」
リーン 128_016 「他のパーツもこうしてやるよ。」
【左腕に続き、右腕を捻り落とす】
ソクラ 129_017 「・・・右腕、破損。」
リーン 130_017 「さて、次はどこを落としてやろうか?真っ二つっていうのもいいかもしれないな。」
ソクラ 131_018 「いくら私を破壊したとしても、代えのボディはいくらでもある。」
リーン 132_018 「・・・ムカつくんだよ。機械のくせに、人間の顔しやがって・・・。」
【ソクラの首を掴み、力を込めていく】
ソクラ 133_019 「く・・・っ」
【ブチブチと回線が切られていく】
リーン 134_019 「・・・死ねよ。」
【断裂していく】
ソクラ 135_020 「回路・・・破カイ・・・イ識レベル、ダウン・・・カ・・ツド・・・う・・・ゲン・・・」
【首が落ち、転がる】
リーン 136_020 「・・・つまらん。」
【スっと立ち上がり、上を目指す】
【途中、防犯カメラに気づき、ニヤリ微笑む】
リーン 137_021 「待ってろよ。全員、こうしてやる。」
【カメラからはけていく】
【場面変更/オペレーションセンター】
ジェイク 138_026 「ソクラが・・・こうも簡単に・・・」
【川崎とブライアンがやって来る】
川崎 139_013 「総帥、この騒ぎは一体?」
ジェイク 140_027 「博士・・・。dataMのバックアップは?」
川崎 141_014 「随時しております、心配はいりません。」
ジェイク 142_028 「そうか・・・。アネッタ、バックアップデータを至急、ノートルゲートに送れ。」
アネッタ 143_019 「了解<�ラジャー>。」
ブライアン 144_012 「・・・何が起きてるんですか?」
ジェイク 145_029 「・・・黒い天使の襲撃だ。」
ブライアン 146_013 「っ!?」
ジェイク 147_030 「・・・心配はいらない。大丈夫だ。」
ブライアン 148_014 「何の根拠があって・・・だって、ブルーグさんも、イクスさんもいないし・・・。」
ジェイク 149_031 「私を信じろ!・・・直ぐにでも、此処から逃げられるように準備をしておけ。」
ブライアン 150_015 「納得いきません!総帥・・・!」
川崎 151_015 「ブライアン。」
ブライアン 152_016 「でも、先生!」
川崎 153_016 「ブライアン!!」
ブライアン 154_017 「・・・わかりました。」
川崎 155_017 「それじゃ、我々は身支度を整えておきます。」
ジェイク 156_032 「あぁ。」
【川崎、ブライアン出ていく】
ジェイク 157_033 「シャッター付近に誘い込み、閉じ込めるんだ!!銃撃部隊を待機させろ!」
アネッタ 158_020 「総帥、バックアップの送信が終わりました。」
ジェイク 159_034 「あぁ、ご苦労。」
【リーアが訪れる】
リーア 160_011 「ジェイク、アネッタ。」
ジェイク 161_035 「リーア・・・何故ここへ?部屋で待機しているようにと・・・。」
リーア 162_012 「来ているのですね?黒い天使が。」
アネッタ 163_021 「えぇ・・・。」
リーア 164_013 「私に行かせてください。彼らを倒すのが、私の使命・・・。」
ジェイク 165_036 「向こうにはまだ、メガラという存在がある。ここで貴女が出れば、奴らの思う壺だ。」
リーア 166_014 「ですが・・・。」
ジェイク 167_037 「アネッタ。」
アネッタ 168_022 「はい。」
ジェイク 169_038 「リーアとミランダ、川崎博士を連れノートルゲートへ迎え。」
アネッタ 170_023 「っ?!私に敵前逃亡をしろと・・・?!」
ジェイク 171_039 「私はこの事態が収まるまでは離れられん。私の代理を勤められるのはお前しかいない。」
アネッタ 172_024 「総帥・・・?」
ジェイク 173_040 「なに、奴の目的はブルーグだ。目的の者が此処にいなければ諦めるだろう。」
アネッタ 174_025 「・・・でも。」
ジェイク 175_041 「(ため息をついて)・・・アネッタ・ウィリアムに命じる。直ちに要人3名を連れ、ノートルゲートへ向かえ。」
アネッタ 176_026 「総帥・・・。」 うろたえ
ジェイク 177_042 「総帥不在の間の指揮を一任する。」
アネッタ 178_027 「総帥!」
ジェイク 179_043 「これは総帥命令だ!!」
アネッタ 180_028 「・・・(冷静になるように間を置いて)了解<�ラジャー>。」
リーア 181_015 「アネッタ・・・。」
アネッタ 182_029 「行くわよ、リーア。」
リーア 183_016 「・・・っ。」 ためらいながら納得して
【立ち去る二人を見送る】
【司令官席に座るジェイク】
ジェイク 184_044 「敵影の確認。報告を。」
オペレータA 185_002 「標的、総合訓練施設前通路に確認。シャッターポイントまで30m・・・25m・・・20・・・」
ジェイク 186_045 「そろそろか・・・。シャッター用意!銃撃部隊、裏手に回って待機。気づかれるな!」
オペレータA 187_003 「15m・・・10・・・」
オペレータB 188_001 「銃撃部隊、配備完了」
オペレータA 189_004 「5m・・・3m・・・1m・・・。シャッターポイント侵入。」
ジェイク 190_046 「よし、シャッターを下ろせ!」
【場面変更】
【一斉にシャッターが下りていく】
リーン 191_022 「っ?!」
【リーンを取り囲むようにシャッターが下りる】
リーン 192_023 「閉じ込めて蜂の巣にするつもりか・・・。小賢しい真似を・・・。」
【銃を構える音】
リーン 193_024 「・・・来いよ、人間ども。」 ニヤリと微笑み
【SE/銃撃音】
【場面変更】
アネッタ 194_030 「研究データは、フォーマットするように指示を出しておいたわ。」
川崎 195_018 「助かります。」
アネッタ 196_031 「すまないわね、ブライアン。私の力だけじゃ、ミランダを護送するのは大変だから。」
ブライアン 197_018 「いえっ!WPCの皆さんと比べて軟弱ですけど・・・。」
アネッタ 198_032 「それでも男手はありがたいわ。」
リーア 199_017 「アネッタ・・・。」
ミランダ 200_015 「・・・強がっちゃって。本当は心配で心配でたまらないくせに。」
アネッタ 201_033 「貴女は黙ってなさい。」
ミランダ 202_016 「・・・でも、おしまいね。WPCは。リーンは争いが嫌いで、率先して戦闘はしなかったけど、その気になったらジェーンよりも強い。」
ミランダ 203_017 「彼が出てきたって事は、貴女たちに勝ち目はなくなったって事よ。」
アネッタ 204_034 「黙れと言っているのがわからないの?!」 鬼のような形相で
【静まり返る】
ミランダ 205_018 「あら、怖い。」 おどけるように
川崎 206_019 「副総帥、今は冷静に。一刻も早く、此処から出なければ・・・。」
アネッタ 207_035 「えぇ・・・そうね、ごめんなさい。」
【場面変更/オペレーションセンター】
オペレータA 208_005 「作戦失敗・・・。銃撃部隊、壊滅です。」
ジェイク 209_047 「・・・子供だましに過ぎなかったか。」
【ジェイク、タバコに火をつける】
ジェイク 210_048 「(煙を吐いて)・・・お前たちは避難しろ。」
オペレータA 211_006 「総帥?!」
ジェイク 212_049 「今まで、よくやってくれたよ。ありがとう。」
オペレータB 213_002 「あなたはどうなさるおつもりですか・・・?!」
ジェイク 214_050 「・・・あいつへのケジメ。だな。」 クスッと笑って
オペレータA 215_007 「そんな・・・あなたは死・・・」
ジェイク 216_051 「命令だ、早く行け。」
オペレータA 217_008 「く・・・っ」
オペレータB 218_003 「行くぞ・・・。」
【立ち去るオペレータ達】
ジェイク 219_052 「あいつには今まで、散々尻拭いをして貰ったからな・・・。今回は俺の番だ。」
【タバコをふかして】
ジェイク 220_053 「(息を吐いて)・・・来たか。」
【足音】
【リーンがやって来る】
リーン 221_025 「・・・随分ガランとしてるな。」
ジェイク 222_054 「私以外、全員逃がしたからな。」
リーン 223_026 「・・・お前がボスか。」
ジェイク 224_055 「そんなところだ。」
リーン 225_027 「ボスがひとり残って、何してたんだ?」
ジェイク 226_056 「昔の事を思い出していたところだ。」
リーン 227_028 「こんな時にか?」
ジェイク 228_057 「いや・・・こんな時だから、だ。」
リーン 229_029 「・・・何を考えていたんだ。」
ジェイク 230_058 「くだらない事だ。この3年、私のしてきた事は間違いだったか?とか。」
リーン 231_030 「へぇ・・・。それで?どうなんだ?」
ジェイク 232_059 「・・・間違いだらけさ。」
【間】
ジェイク 233_060 「でも、正しく生きようとした遠回りの結果だ。後悔なんぞ、していない。」
リーン 234_031 「正しい・・・?」
ジェイク 235_061 「私の中だけの正義だ。一般論の正しさとは違う。お前の中にだってあるだろう?」
リーン 236_032 「・・・それは・・・。」
ジェイク 237_062 「仲間を殺された悔しさ、仇を打つという名の正義。一般論で片付けられてたまるか?」
【リーン、激しく首を横に振る】
ジェイク 238_063 「そんなもんさ。正義ってのは。」
リーン 239_033 「正義・・・。」
ジェイク 240_064 「私は私に正しく生きてきたつもりだ。周りを巻き込みながら、な。」
ジェイク 241_065 「ブルーグは私の犠牲者だ。アイツを・・・アイツ一人を責めないで欲しい。」
リーン 242_034 「・・・あいつは、どこでも犠牲者なんだな。」 皮肉的に
リーン 243_035 「わかってる・・・!わかってるさ。でも・・・俺の感情の行き場はどこに向ければいいんだ!」
ジェイク 244_066 「・・・ここに、向けろ。」
【ジェイク、自分の胸に手を当てる】
ジェイク 245_067 「私の命で、お前の怒りが収まるかはわからん。でも、これが俺のお前やアイツへのケジメのつもりだ。」
リーン 246_036 「お前・・・その為に全員逃がしたのか・・・。」
ジェイク 247_068 「あぁ、おかしいか?」
リーン 248_037 「・・・人間はもっと自分勝手で、我先に助かろうとする愚かな奴ばかりだと思ってた。お前みたいな奴もいるんだな。」
ジェイク 249_069 「・・・お陰で変人扱いだ。」 皮肉的に微笑み
【タバコの火を消し】
ジェイク 250_070 「さてと・・・無駄話はここまでにしよう。」
リーン 251_038 「その前に・・・ひとつ聞いてもいいか?」
ジェイク 252_071 「なんだ?」
リーン 253_039 「お前の名前を、教えろ。」
ジェイク 254_072 「私の・・・?どうして?」
リーン 255_040 「・・・ケジメ、だ。」
ジェイク 256_073 「(クスッと笑って)・・・WPCディーパ本部総帥、ジェイク・バスクードだ。」
リーン 257_041 「ジェイク・バスクード・・・。」
【リーンの爪が鋭く伸びる】
リーン 258_042 「その命、貰った。」
【斬撃音】
【場面変更】
【間】
リーア 259_018 「っ!」 ハッとして
アネッタ 260_036 「どうしたの?リーア。」
リーア 261_019 「いえ・・・なんでも・・・」
ミランダ 262_019 「あら?感じ取ったのに教えてあげないの?意地悪なのね、レイズって。」
アネッタ 263_037 「え・・・?」
ミランダ 264_020 「たった今・・・」
リーア 265_020 「やめて!」
ミランダ 266_021 「総帥が・・・」
リーア 267_021 「ダメよ!」
ミランダ 268_022 「死んだ」 ニヤリと微笑んで
【静まり返る。アネッタ、ワナワナと震えて】
アネッタ 269_038 「・・・嘘よ。」
ミランダ 270_023 「あら、ホントよ?あなたも感じたんでしょ?リーア。」
リーア 271_022 「それは・・・」
アネッタ 272_039 「嘘よ、嘘よ、嘘よ、嘘よ、嘘よぉぉぉぉおおお!!」 取り乱す
【ミランダに掴みかかろうとするのをブライアンが止めて】
ブライアン 273_019 「副総帥!!落ち着いてください!!」
ミランダ 274_024 「(高笑い)言ったでしょ?一日じゃ憂う暇もないって。貴女たちも例外じゃないわ。」
リーア 275_023 「なんですって・・・?」
【あたりに霧が立ち込めている】
ブライアン 276_020 「霧・・・?一体どこから・・・。」
アネッタ 277_040 「っ?!霧が人の形に・・・?」
【みるみる霧が集結し、MJが現れる】
MJ 278_001 「上層部ビルは面白いですね・・・。色んな物がありました。」
川崎 279_020 「・・・マイン・・・君なのですか・・・?」
MJ 280_002 「これはこれは川崎先生。お久しぶりです。お元気でしたか?」
川崎 281_021 「どうして君がこんな事を・・・?」
MJ 282_003 「こんな事?こんな事とは?思い当たる事がありすぎて、はてさて・・・。」
川崎 283_022 「どうして君が、テロリストの親玉なんて事を!!」
MJ 284_004 「親玉?(クスッと微笑み)勘違いしないでください。私の役目はメガラの目となり、足となる事。全ては母の思し召し。」
川崎 285_023 「・・・まるで別人のようだ。君がこんな事になるなんて・・・!」
MJ 286_005 「そりゃそうでしょう。ほとんど別人なんですから。」
川崎 287_024 「な・・・っ?!」
【MJが仮面を外す】
アネッタ 288_041 「ブルーグ・・・?!」
ブライアン 289_021 「どうなってるんですか・・・?MJは、マイン・ジュリアスじゃ・・・!」
リーア 290_024 「ブルーグではないわ。見た目は同じだけど・・・感じる物が違う。」
MJ 291_006 「流石はレイズの女王。あの人間の小娘たちとは訳が違う。」
川崎 292_025 「私の知っているマインではない・・・!!本当に別人になってしまったんですね・・・。」 愕然と
MJ 293_007 「完全に別人というわけではありません。今、この瞬間も。マイン・ジュリアスの記憶、感覚はこの体に生きています。」
アネッタ 294_042 「・・・侵食・・・。」
MJ 295_008 「我々は『支配』と呼んでますがね。役立てそうな人間や動植物を『支配』に置くことで、自分の力に出来る。」
MJ 296_009 「今日は、大変尊敬する川崎先生をお迎えに来たんですよ。」
川崎 297_026 「なに・・・?」
MJ 298_010 「数多の博士号を手にし、我々に関する研究の第一人者である貴方を『支配』すれば、我々の繁栄に役立てますから。」
【MJの背後から影が伸びる】
ブライアン 299_022 「先生!離れて!!」
川崎 300_027 「っ?!」
リーア 301_025 「させるものですか・・・!」
【リーアが構える】
ミランダ 302_025 「動かない方がいいわ、足元を見なさい。」
リーア 303_026 「足元・・・?っ?!これは・・・!!」
【そうしてる間にMJの影が川崎を捉える】
川崎 304_028 「ぐっ?!」
ブライアン 305_023 「先生!!・・・貴様!?先生を離せ!」
【殴りかかろうとするが、体が透け、通り抜けてしまう】
ブライアン 306_024 「っ?!」
MJ 307_011 「無駄ですよ。私の体は霧で出来ている。簡単に倒せると思わない事ですね。」
川崎 308_029 「くっ・・・マイン・・・!」 もがきながら
MJ 309_012 「それじゃ、先生。いただきます。」
【闇の触手が川崎博士を取り込んでいく】
ブライアン 310_025 「先生!!?この野郎・・・!!当たれ・・・!!」 なんとかMJを掴もうとするが、掴めない
アネッタ 311_043 「リーア!!何してるの!?早く博士を・・・!」
リーア 312_027 「ダメよ・・・。足元を見て・・・。」 絶望の表情で
アネッタ 313_044 「足元・・・?っ?!これは・・・何?木の根がひしめき合って・・・」
リーア 314_028 「・・・メガラの根よ。」
アネッタ 315_045 「なんですって・・・?!」
ミランダ 316_026 「ふふふ・・・。もう此処まで星の支配は進んでいるのね。」
【一瞬の隙をついてミランダが逃げ出す。】
アネッタ 317_046 「ミランダ?!」
ミランダ 318_027 「人間が作った玩具なんて、私の魔法で簡単に外せるわ。」
アネッタ 319_047 「貴女・・・逃げ出す隙を狙ってたのね・・・!」
ミランダ 320_028 「そゆこと。」 クスッと微笑んで
【足音】
【リーンが合流する】
MJ 321_013 「ご馳走様でした・・・。おや?」
リーン 322_043 「やっぱり此処にはいなかった。・・・ん?ミランダいたのか。」
ミランダ 323_029 「いるわよ。此処に捕まってたのよ。」
リーン 324_044 「それもそうか。」
MJ 325_014 「此処にいないという事は・・・。」
ミランダ 326_030 「そう・・・。祭壇に向かったの。」
MJ 327_015 「ほう・・・(興味深そうに)。では、ここにもう、用はないですね。ミランダ。」
ミランダ 328_031 「はい。」
【ミランダの掌に、赤い炎が揺らめく】
アネッタ 329_048 「ミランダ・・・何を・・・!?」
ミランダ 330_032 「・・・さようなら。」 妖艶に微笑み
リーア 331_029 「伏せて!!」
【激しい爆発音】
【間】
ブライアン 332_026 この日、ディーパ軍上層部総合ビルはテロリストの手で破壊された。
ブライアン 333_027 被害者が少数で済んだのは、総帥の判断が早かった事が理由なのだろう。
ブライアン 334_028 でも・・・その総帥を始め、川崎先生も、その命を落とした。
ブライアン 335_029 ・・・僕たちにとって、忘れられない一日は、こうして幕を閉じる。
【間】
イクス 336_001 「次回予告。」
イクス 337_002 「消えたブルーグを追いかけ、アゴールへと向かう俺。あん?なんかやたら荷物が重たいような・・・。」
イクス 338_003 「このタイミングで、愛しのハニーからのラブコール・・・って、なんだ違うのか。」
イクス 339_004 「次回!ParasiteNOVA第十三話!『痕跡』」
イクス 340_005 「あら?誰も邪魔してこないのね・・・。」 ショボン


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